Vol.7 トレッキング・イン・ラウガヴェグール・トレイル

アイスランド『冷たい大地のホットなトレイル』

ラウガヴェグール・トレイルを歩く
5年前のこと、“ハイカーならば当然歩くべき、最も美しい世界の三大トレイル”という記事を読んだ。 その三大トレイルとは、ニュージーランドの「ミルフォード・トラック」、ペルーの「インカ・トレイル」、そしてアイスランドの...ラ、ラウガヴェグール???初耳...。 この発音しがたい名前のトレイルは好奇心をそそった。「インカ・トレイル」と聞けばアンデス山脈やマチュピチュが想像できるし、「ミルフォード・トラック」だったら緑の雨林やフィヨルド、キィウィが思い浮かぶ...でも「ラウガヴェグール・トレイル」???なにが想像できる?どんな場所なのだ、ランドマンナロイガルとかソウルスモルクとは???...ところでアイスランドはどこだ?そこには人が住んでいるのか???

それから2年後、私はすべての答えに出合った。 ハイカーたちがなぜ、あの信じ難い大地の上を歩くべきなのか悟った。 シンクヴェトリル国立公園のレンジャー曰く「この世界のどこにもアイスランドのような土地はないでしょう。 私たちの地球がどのように時を刻み、この大地がどのように成長しているかを見ること...ここ以外では不可能です!」 ...反論なし。 アイスランドは何千もの活火山、大河、深い峡谷、未探検の氷洞穴、間欠泉、巨大な氷河、不毛の黒い溶岩平原地帯、大迫力の滝、おびただしい数の温泉などによってバラエティに富んだ地形が形成されている。 そしてこの忘れがたい50kmにおよぶトレイルには、これらアイスランドが誇る大自然の全てがあった。

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1. 間欠泉ストロックルの噴水
2. 氷河の溶け水が70mの高さから豪快に流れ落ちる瀑布グトルフォス
3. 氷河湖ヨクルスアウルロオウンに浮かぶ氷塊

トレイルINFO
南アイスランド内陸部に位置するフィヤットラバク自然保護区のランドマンナロイガルから、ソウルスモルク自然保護区への道のり全長55kmの「ラウガヴェグール・トレイル」。 天候により、その難易度は「中級」から「超上級」へと極端に変化する。 ハイカーは全天候に対応できるよう準備しておかなければならない。 事前に天気予報のチェックもかかせないが、現地のハット(山小屋)の管理人でさえ予測が難しいアイスランドの天候。 非常に変わりやすいので実際歩き出すまでわからないことも。 ハイカーはハットの管理人に判断をゆだねる。

トレイル上は非常に良くマークされており、又、4日間の行程はそれほど長くないので、ほとんどのハイカーは特に問題なく歩き通すことが可能。 一日の行程の最後には、清潔で心地よいハットへたどり着くようになっている。 キッチンやシャワーもあるのでスリーピングバッグと4日間分の食物だけで、他にはそれほどたくさんの荷物を担いでくる必要もない。 十分な着替えと1足のサンダルがあればいい。 最後の2日間はいくつかの川を渡らなければならないのだ。

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1地熱地帯のランドマンナロイガルから出発
2.生命力の強い植物がつくる緑鮮やかなトレイル
3.森林、雄大な山々、氷河、氷河川などに囲まれたソウルスモルク

トレッキング:第1日目
Landmalaugar → Hrafntinnusker
(距離12km・歩行時間4〜5時間)
トレイルのスタートは溶岩原に位置する Landmalaugar のハットから。 でもこの冒険は、首都レイキャヴィークでバスに乗った瞬間から始まると言えるだろう。 各国からやって来たハイカーの熱気に包まれた3時間のバスの旅は、すでにあなたをチャレンジャーに仕立て上げるにちがいない。 アイスランド仕様の4WDバスは、濁流の川や不安定な溶岩の道をいく度となく渡りきり、ハイカーたちの気分を盛り上げた。 ここは活発な地熱地帯である。ハットからほんの200mの所には、温かいお湯が流れている川があり、天然の温泉プールが設けられている。 夕食後のリラックスタイムにぴったりのスポット!旅の前に体を休めよう。

初日は10km程度の行程にもかかわらず、Hrafntinnusken ハットまで、Laugahraun 溶岩原を登らなければならないためハードな日になる。 トレイルでは、アイスランドでおそらく最もカラフルな山 Brennisteinsalda を目にするだろう。 たとえ曇りの日であろうとも、黄色、ピンク色、茶色、グレーや赤色などの色彩をはなつ流紋岩によってつくられた山は美しい。 山麓では羊たちにも出合う。 不毛の大地上で、彼らはかろうじて生えている草を探している。 3時間後、Storihver に到着。 そこで一息つき、サンドイッチをパクつく。 Storihver はパワフルな小川で、グツグツと熱いお湯が煮えたっている。 辺りは緑のビロードのようなコケで占められているが、そのコントラストの強さに目を見張った。

Storihver を後にすると、トレイルは雪原を通って進むと、Hrafntinnusken ハットまでは数分の距離。 Laugavegur 沿いのハイキングは初日の終わりを告げる。 もし余力があればIshellir 氷洞窟を見に行くべきだろう。 ハットから1.5キロ西に位置にある。 熱湯が氷の下を流れており、このコントラストも驚くべきものだ。 古い小さい洞窟がつぶれ、新しい洞窟ができる...この氷の洞窟はいつも変化している。

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1. 道なき道を行くアイスランドのバス
2. ランドマンナロイガルのハット

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3. 流紋岩の豊かな色彩、苔、溶岩の不思議なコントラスト
4. 地熱活動の活発なエリア。ところどころで煙が立っている

第2日目
Hrafntinnusken → Alftavatn
(距離12km・歩行時間4〜5時間)
2日目はかなりバラエティに富んだハイキングが楽しめる。 最初はほとんど谷底を歩くような平坦なトレイルだが、小川と峡谷がいくつもあり慎重さは欠かせない。 不運にもこのパートを歩いたとき私は濃霧下にいた。 前方3m先さえも見ることができず、トレイルのマークを追うことが困難だった。 この周辺ではよく起こることだろう。 何人かのハイカーたちが道に迷い、GPSナビゲーションツールでハットまでたどり着いたということを聞いた。

谷が終わったとたん、トレイルは衝撃的ともいえる絶景を望むことができる Jokultungur のエッジへと続く。 私たちがすでに歩き終えたトレイルは背後にあり、ただただ暗く写った。 私たちが向かう方向は騒々しい地熱地帯。前方には Alftavatn 湖が確認できた。 藻や苔、高山植物といったはかなげな、しかし生命力の強い植物が生息する緑の谷に位置している。

険しい岩だらけトレイルはエッジに向かって下降していく。 シューズのひもをしっかりと通しておくこと。 谷底に到着するとその景色は完全に姿を変えた。 いくつかの小川、点在する緑の芝生のカーペット、咲き乱れる野花...休憩にはもってこいのスポットだ。 ただし周辺にいる羊たちには要注意。一帯は農地である。

ここからトレイルはずっと平坦で30分後には湖の前の Alftavatn ハットへ到着する。 夕食後、湖の周りを散策しよう。 軽装で歩くことができるトレイルがある。 午後11時、アイスランドの夏の遅い日没、静寂の中での散歩は忘れられない体験になるだろう。

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1. おびただしい数の小川を渡る
2. 小さな体に力みなぎるアイスランドの羊
3. 緑の谷にひそむ静かな湖を前に

第3日目
Alftavatn → Emstrur-Botnar
(距離:16km・歩行時間:6〜7時間)
3日目は非常に長くて厳しい道のりだ。 スタートしてからすぐに、ハットのすぐ後ろを流れる川の向こうへと歩いて渡らなければならない。サンダルは必携。 さらに10分後にはもっと幅広く、困難に満ちている Bratthalskvisl 川がある...ここでサンダルを失うことは想像したくないものだ。

丘のエッジへ向かってトレイルを進んだ後、次の合流点まで再び下っていく。 一方のトレイルは氷河の麓へと導き、もう一方は私たちが進むべきトレイルだ。 その合流点から1kmも歩かないうちに、その日最大の川 Blafjallakvisl を渡らなければならない。 単独の場合は危険がともなうので、できれば他のハイカーを待って一緒に歩くのが望ましい。 ストックは川渡りの際もそうだが、下りのトレイル時にも重宝するので持参したい。

続く7 km のトレイルはずっと平坦で退屈な気分にもさせる。 しかし私たちが歩いているのは真っ黒な火山砂地帯の上。 さらに右手にそびえる緑の山頂や、左手に映る白い氷河が一緒になってつくりだす風景は、今まで見たことがないほど貴重なものだ。 ここが強風時の場合、横断は厳しいものになるだろう。 それでなくても服やバッグパック、目の中までも入り込んでいく小さな黒砂と格闘して歩かなくてはいけないのだ。

今日のトレイルの最終地点は Emstrud - Botnar ハット。 パノラマ地点に3つの小さいキャビンが並んで建っている。 ここでもショート・ウォークのチャンスあり。最も人気が高く、絶対に見逃すべきでないのがMarkarfljotsgljufur (どのように発音するのか想像もできない...)峡谷までのコース。 30分程度の道のりだ。深さ200mの峡谷は、2500年以上前に起こった大洪水によって生まれた。 その周辺の最も高い地点に立つと、氷河や雄大な山々の印象的な絶景に抱かれるだろう。

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1. 川を渡り終え、一息つくハイカーたち
2. 乾燥した長い長い火山砂地帯のトレイル上で
3. 大自然の中のハット。ハイカーはこの赤い屋根を目指して歩いてくる

第4日目
Emstrud-Botnar → Porsmork
(距離:15km・歩行時間:6〜7時間)
最後のハットから、険しいジグザグのトレイルが Syori - Estrua 川を渡る橋下へと導く。 橋の上からは穴滝と氷河の印象的な光景を眺めることができる。 ここから数キロ間は平坦な大地を行く。 ここは Fauskatorfur と呼ばれる一帯で、数世紀前は森林によって覆われていた。 このトレイルの最後の険しい坂を登る前に、ここで休息しておこう。後に続くトレイルの上昇率はそれほどでもないけれど、かなり厳しい。 さらにエッジにたどり着いた後は、再び下りの道のりになる。この時ストックのありがたさをしみじみ感じるだろう。

そしてついに Pronga 川に遭遇する! それはこのトレイル上、歩いて渡らなければならない川で最大のものだ。 川幅120m、水深は50〜70cm。 通常は問題なく渡りきることができるようだが、気候が特に暖かい時は少し手間取るだろう。 目の前にある氷河が溶け、そこから直接水が流れ込んでくる。 その水の冷たさに耐えなくてはならないし(両足を何匹ものピラニアに噛まれているような痛みだ!) 、激しい水の流れにも向かっていかなければならない。 何人かのハイカーが足を取られて全身ずぶ濡れになるのを見た。 マンマミーア!!!

やっとの思いで渡った川を後にすると、緑の森へと続く楽しいトレイルが待っている。 30分ほどで Porsmork のサイン看板に到達するだろう。 これは“世界で最も美しいトレイルのひとつ”を歩き終えたことを意味する。 ここから200m先には、氷河と山々の中に見いだされる、美しいソウルスモルク自然保護区がある。 緑の山々と巨大な氷河に囲まれたその景観は忘れがたいものになるだろう。 最後のハットでトレイル達成の喜びをかみしめよう!

ハイカーが到着する時間を見計い、岐路へ着くためのバスが待っているだろうが、帰るなんてとんでもない!少なくとも一泊はしていきたい。そこはアイスランド最高のトレッキングを締めくくるのにふさわしい、ショート・トレイルがいくつもあるのだ。ゆったりと疲れを癒そう。

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1. 目の前に広がる氷河へ向かって。道のりはまだ遠い
2. 深い峡谷に響く大地の鼓動

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3. 川を渡るハイカーたち
4. 氷河と緑に囲まれたハット。のどかな環境だ
ルカ・フェレッティ
イタリア人ハイカー。 地元、中部イタリア・マルケ州シビッリーニ山脈での豊富な経験を持ち、ヨーロッパ・アルプスの山々、日本では南アルプスなども踏破した。 ロッククライミング、アイスクライミングも得意。 マウンテンバイクのレースに参加したり、ヨーロッパ各国を自転車で周遊するなどサイクリングの達人でもある。 日本リフレッシュ・ウォーキング協会イタリア担当。
◇ お役立ちサイト

■アイスランド基本情報
>> アイスランド大使館
http://www.iceland.or.jp/index.html


>> アイスランド航空
http://www.icelandair.jp/


>> アイスランド観光文化研究所
http://www.iceland-kankobunka.jp/


■アイスランド・トレッキング情報
>> The Iceland Touring Association
http://www.fi.is/

(アイスランド語・英語・デンマーク語)
ハイキング・トレッキングトレイルの情報満載。 ツアーやハットのオンライン予約も可能。

■イタリア人ハイカー、ルカさんの故郷
>> マルケ州政府観光局
http://www.italy-marche.info/jp/


このトレイルについて、本人にもっと聞いてみたいことありませんか?
あなたの思い出のハイキング体験談もぜひ聞かせてください!

お問い合わせ先:株式会社オン・ザ・ロード内 「日本リフレッシュ・ウォーキング協会」
〒461-0005 名古屋市東区東桜一丁目10-29 パークサイドビル栄7階
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