Vol.3
ハイキング・イン・イタリア
『Parco Nazionale
  dei Monti Sibillini Part I』

(シビッリーニ連峰国立公園)
 

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魔女シッビラの王国『シビッリーニ連峰国立公園』
イタリア中央部の最高峰Monte Vettoreヴェットーレ山(標高2,476m)を筆頭に連なるシビッリーニ連峰。 この山々を中心に7万haのエリアをカバーする『Parco Nazionale dei Monti Sibilliniシビッリーニ連峰国立公園』。
国立公園に制定されてから8年余しか経っていないため、イタリア人だけでなく“静かな辺境”を求めるヨーロピアン・ハイカー、特にドイツからやってくる人々が増えているという。
にわかに注目度を高めているシビッリーニではあるけれど、中世の時代はヨーロッパ中で恐れられたといわれている。 悪魔や魔法使い、悪事をはたらく魔物たちが住む国とされていたからだ。
この国立公園名の由来となった伝説の魔女シビッラ。 彼女は悪魔たちと徒党を組み、冒険と栄光をさがし求めて旅をしていた騎士たちを捕らえては葬った。そしてその騎士たちの血でもって、魔力を封じ込めた湖を山奥深くにつくったという。

Moglianoモリアノから眺めるシビッリーニ連峰

“イタリアの背骨”立つ
その“不吉な湖”Lago di Pilato ピラート湖はヴェットーレ山頂への道のりで見ることができる。 それは『Una panoramica cresta per la cima piu alta delle Marche』マルケ州の最高峰への大パノラマ山の背ハイクというトレイルのハイライト地点。
ヴェットーレ山頂の登山口Forca di Presta フォルカ・ディ・プレスタ(1,536m)へ車で向かった。この山は“イタリアの背骨”と称されるMonti Apenniniアッペンニーニ山脈のすべてのピークを持ち合わせたような山。 アッペンニーニ山脈攻略の始めの一歩、といわれている。
現存する最も古い登頂記録は665年の冬。 ときの支配者、古代ローマ人の支援を受けたマルシがその“勝利の山”を目指した、が失敗に終わった。 さらに長い年月を経て、冬季最初の登頂成功者となったのはダミアノ・マリネッリ。 ガイドのチコリアとカポッチをともなっての挑戦だった。
  
ヴェットーレ山頂の登山口
Forca di Presta
フォルカ・ディ・プレスタ(1536m)

いざ、シビッリーニ連峰最高峰へ
その昔、マルシやダミアノが命と栄誉をかけて挑んだヴェットーレ山への道のり。 今では国立公園として整備されたおかげで、“大パノラマの景色を楽しみながら歩けるハイキングコース”とされ、“シビッリーニ連峰、最高峰への近道”といわれるほど気軽に楽しめるようになった。
登山口から登り続けること約1時間。 6月頃まで溶けないという残雪で、足元は覆われたが、額には汗がにじむ。 重ね着していたウエアは薄手の長袖Tシャツだけになった。 日差しをさえぎるような木々もなく、高所にいるせいか太陽がとても近くに感じる。
山の尾根(2,052m)にたどりつくと、そこは山頂と別ルートの分岐点。 ハイカーたちはそこで一息つく。 例のピラート湖が確認できる地点だ。 眼下には険しい峡谷の底に、不似合いなほど穏やかで、うっとりするほど青く透明感をもった湖があった。 “魔力がかっている”といわれても不思議はない。 急に寒さをおぼえ、歩をすすめる。


足元に気をとられ、景色を楽しめない!?

山頂と別ルートの分岐点への道のり。先はまだ長い。


分岐点付近の非難小屋付近で。前方から犬と下山するおじさんがやって来た。

シビッラの気配を感じながら…
延々と続いていたシビッリーニ連峰の爽快な景色は、山頂に近づくにしたがい雲で覆われ始めた。 サミットの姿はもう見えない。 ピークに向かっている最中に目標物を失うと、ただの苦行になる。 このトレイルは、“常にパノラマが広がった景色が楽しめるハイキングコース”で、山頂からはマルケ州全土とアドリア海まで見渡せる、はずだった。
スタートから約2時間半後、山頂で厚い雲を背景に記念撮影をし、そそくさと退散。 往路と同じ道を引き返す。 再び視界が広がったピラート湖で足を止めると、そばにいたハイカーが前方の山を指差している。
Monte Sibillaシビッラ山(標高2,175m)にある暗黒の洞窟だ。 魔女シビッラが追いつめられて逃げ込んだといわれている。 “Grotta delle Fate妖精たちの洞窟”と名付けられていることから察すると、今はおとなしく山中にひそんでいるのだろう。 ひんやりとした風がピラート湖から吹き上げてくる。 ふとシビッラのことを思った。 天候が変わらないうちに下山しよう。 岐路を一気に駆け下りた。

山頂まであと一息。
ここまでは快晴だった。



シビッラ山を望む。

[Marcheマルケ州]
マルケ州はイタリア中東部に位置する。 東側にはアドリア海、西側にはアッペンニーニ山脈が連なる“海と山”の自然に恵まれた地域。 人口約140万人。 州都はアドリア海の港町Anconaアンコーナ。 海岸線は青い海、白い砂浜が美しいビーチリゾートとしての顔を持つ一方で、内陸部には山並の美しさと調和した小さな町や村が点在。 中世・ルネッサンス時代にその全盛期をむかえた様子が、深い歴史に刻まれた町並みの随所にうかがい知ることができる。 さらに西に向かうと、山々に囲まれたアッペンニーニ山脈のエリアに入っていく。 その景観、そして文化的にも表情豊なマルケ州は、“本物の中部イタリアらしさ”を余すところなく見せてくれる。


ハット(山小屋)“RIFUGIO PERUGIA”でとすすめられたマルケの味、Olive Ascolane オリーブ・アスコラーネ(肉詰めオリーブのフライ)。いくつでも食べられる。


このトレイルについて、本人にもっと聞いてみたいことありませんか?
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